リネン生地のメリット・デメリットについて、クリーニングのプロが解説します
天然繊維であるリネンは、さまざまなメリットがある優れた素材です。しかし、いくつか気を付けなければならないデメリットも存在します。この記事では、リネン生地のメリット・デメリットについて、クリーニングのプロが解説します。リネン生地を楽しみたい方はぜひ最後までご覧ください。
目次
リネン生地とは
●リネン生地のメリット
~吸水性がよい~
~乾くのが早い~
~肌触りがよい~
~汚れにくい~
~丈夫でダメージに強い~
●リネン生地のデメリット
~縮むことがある~
~色移り・変色することがある~
~洗濯よって品質が変わることがある~
●リネン生地は優れた素材
リネン生地とは?
リネン生地とは、亜麻(あま)の一種である「フラックス」という植物から作られた植物繊維です。リネンという言葉は英語の「linen」由来で、フランス語では「リンネル(linière)」と呼ばれています。
リネンの歴史は非常に古く、発祥は紀元前8000年頃(今から1万年前)です。人類最古の繊維ともいわれています。(エジプト文明のミイラの身をつつんでいる素材もリネンです)
このように人類が長く使用してきたリネン生地には、優れた特徴がいくつもあります。その一方、気を付けなければならないデメリットもあるので、扱いには注意しましょう。
リネン生地のメリット
リネン生地のメリットとしては、次の5点が挙げられます。
●吸水性がよい
●乾くのが早い
●肌触りがよい
●汚れにくい
●丈夫でダメージに強い
それぞれの特徴は次のとおりです。
- 吸水性がよい
- リネンは吸水性に優れており、その吸水性は綿の4倍程度ともいわれています。 汗を吸い取ってくれるため、夏用の服や寝巻に最適です。また、シーツやハンカチなどにも使われています。
- 乾くのが早い
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リネンは吸水性のみならず、速乾性にも優れています。汗を吸ったあとすぐに乾いてくれるので、夏でも快適です。
リネンの速乾性は、繊維の構造に由来します。リネンは繊維内部が空洞なので、濡れてもすぐに乾いてくれるのです。
- 肌触りがよい
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吸水性や速乾性と関係しますが、リネンは肌触りがよいこともメリットです。汗を吸ってくれ、濡れてもすぐに乾くため、快適な着心地が続きます。
また、リネンは麻布などと比べるとしなやかな肌触りであることも特徴です。しなやかさは「ペクチン」という成分に由来し、リネン独特の触り心地を生み出しています。
- 汚れにくい
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肌触りの良さを生み出している「ペクチン」はリネン生地をコーティングしており、リネン生地を汚れから守る機能も担っています。そのため、リネン生地は他の生地と比べて汚れづらいこともメリットです。
また、リネン繊維そのものにも抗菌性があるため、雑菌が繁殖しづらい効果もあります。
- 丈夫でダメージに強い
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リネンは天然素材の中で最も耐久性に優れているともいわれています。(耐久性はコットンのおよそ2倍)
たしかに化学繊維と比べるとダメージに弱い部分もありますが、エジプトのミイラに使われているように、長い年月を経ても繊維としての機能を果たしてくれることが特徴です。
《満開の亜麻の花畑》
リネン生地のデメリット
リネン生地には多くのメリットがありますが、取り扱う際は次の3点に注意する必要があります。
- ●縮むことがある
- ●色移りすることがある
- ●洗濯よって品質が変わることがある
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それぞれの詳細と対処方法は次のとおりです。
- 縮むことがある
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リネンは耐久性に優れてはいますが、高温によって縮んでしまう場合があります。リネン生地の密度によって異なりますが、水温30℃以上のお湯でも縮んでしまう場合があるので、洗濯の際は注意してください。なお、リネンの縮みやすい性質を利用して、意図的に縮ませる方もいます。
- 色移り・変色することがある
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リネン繊維は「ペクチン」によってコーティングされているため染料が入りにくく、色移り・色落ちしやすいといわれています。特に濃い色に染められたリネン生地は、白い衣類と擦れるだけで色移りする場合が多いです。染められているリネン生地は、単体で洗濯してください。
また、丈夫といわれているリネン繊維ですが、紫外線に弱いことはデメリットです。洗濯後に直射日光で乾かしてしまうと変色してしまうので、干す場所に気をつけましょう。
- 洗濯によって品質が変わることがる
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リネン生地は天然繊維なので、洗濯によって品質が変わることがあります。色落ち・色移り以外にも、摩擦による毛羽立ちなども注意しなければなりません。また、リネン生地の特徴である「ハリ」のために、洗濯によるシワがつきやすいこともデメリットです。脱水時間を短くすると、シワがつきづらくなります。(あえてシワを楽しむ方も多いです)
- リネン生地は優れた素材
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リネンは吸水性・速乾性・耐久性に優れており、普段着や寝巻、シーツやハンカチなど幅広い用途で活躍してくれます。しかし、高温や直射日光には弱いので、お手入れ時には気をつけましょう。もしリネン生地の手入れに不安がある場合は、クリーニングも活用してみてください。