服に使用する生地の種類を紹介!素材の特徴や織り方についても解説します。
私たちが普段着用している衣服は、さまざまな生地で作られています。それぞれの生地の種類や特徴を理解することで、ご自身に最適な洋服が見つかります。そこで、今回は衣服に使用される生地について解説します。
目次
- 服に使用する生地の種類は大きく分けて3種類!
- 天然繊維
- 再生繊維
- 合成繊維
- 服に使用する「天然繊維」の種類
- コットン(綿)
- リネン(麻)
- ウール(毛)
- シルク(絹)
- 服に使用する「再生繊維」の種類
- レーヨン
- 服に使用する「化学繊維」の種類
- ポリエステル
- ナイロン
- ポリウレタン
- アクリル
- リヨセル
- 服に使用する生地には「混紡」素材もかかせない
- 服に使用する生地の織り方の種類
- 平織り
- 綾織り
- 繻子(しゅす)織り
- まとめ
William Morris's Daisy (1864) famous pattern.
Public Domain Free CC0 Image
服の生地は大きく分けて2種類!
仕事や日常生活で着用する服は、さまざまな生地が使用されています。そのなかで一般的な分類は、「天然繊維」と「合成繊維」の2種類です。それぞれの生地には独自の特徴や利点があり、用途に応じて使い分けられています。ここでは、天然繊維、化学繊維の違いを解説します。
天然繊維
天然繊維は、自然界から得られる繊維で快適性や通気性に秀でた特徴を持っています。以下に、代表的な天然繊維を2つ紹介します。
植物繊維
植物繊維は植物から得られる繊維で、吸湿性や耐久性の高さが大きな強みです。コットン(綿)は柔らかくて肌触りがよく、夏場でも涼しく快適に過ごせるためTシャツやシャツに広く使用されています。
その後、古代ヨーロッパから中世〜現代に至るまで、さまざまな文明でリネン生地は使われてきました。
また、リネン(麻)は速乾性があります。夏の暑い季節に適しているほか、強度の高さから長く愛用できる点も魅力のひとつです。植物繊維は日常の衣服に多く利用されており、それぞれの特性を活かして使い分けされています。
亜麻の畑
動物繊維
動物繊維は動物から得られる繊維で、保温性や柔軟性に優れています。ウール(毛)はとても保温性が高く冬の寒い季節に適しており、ウールのセーターやコートは冬の定番アイテムです。
シルク(絹)は光沢が美しく、肌触りのよさからドレスやネクタイなどの高級衣類に使用されます。動物繊維は、その特性を活かして高級感のある衣服に多く用いられています。
養蚕農家の民家
二階が蚕を育てる蚕室となっています。
化学繊維
化学繊維は、石油や天然ガスなどから合成された人工的な繊維です。天然繊維に比べ耐久性や機能性に優れているため、さまざまな用途に対応できる点が特徴です。化学繊維は製造方法や素材により、大きく3種類に分類できます。
合成繊維
合成繊維は石油を主原料とする繊維で、代表的なものにはポリエステルやナイロンなどがあります。ポリエステルはシワになりにくく速乾性があるため、スポーツジムでのトレーニングウェアやランニング用の衣服に最適です。一方、ナイロンはストッキングそして、強度の高さと耐摩耗性からアウトドア活動に適した衣服やバッグに多く使用されます。合成繊維で有名なものにナイロン6,6やナイロン6が挙げられます。
ナイロン6,6[−NH−(CH2)6−NHCO−(CH2)4−CO−]nはアジピン酸HOOC-(CH2)4-COOHとヘキサメチレンジアミンH2N-(CH2)6-NH2の縮合重合により生成します。
ナイロン6[−NH−(CH2)5−CO−]nはε-カプロラクタムO=C−(CH2)5−NHの開環重合により生成します。
半合成繊維
半合成繊維は、天然のセルロースを化学的に処理して作られた繊維です。セルロース[C6H7O2(OH)3]nのヒドロキシ基-OHをアセチル基-COCH3に置き換えたアセチル化により合成します。代表的なものには、アセテート繊維(例 セルロースアセテート −[C6H7O2(OCOCH3)3]n)があります。半合成繊維の主な特徴は、柔らかい質感と美しい光沢です。一方、耐熱性や耐久性が低いといった弱点もあります。
再生繊維
再生繊維は素材に含まれているセルロースを一度溶解し、再び繊維にしたものです。代表的なものには、ビスコースレーヨンや銅アンモニアレーヨン(キュプラ)があります。ビスコースレーヨンはセルロース、二硫化炭素と濃水酸化ナトリウム水溶液の混合物のビスコースを、希硫酸に溶かし生成します。また、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)は、シュワイツァー試薬という水酸化銅(Ⅱ)Cu(OH)₂をアンモニア水に溶かした水溶液を、希硫酸に溶かし生成します。再生繊維は独特の光沢が特徴で、発色性や吸湿性、耐熱性に優れています。
服に使用する「天然繊維」の種類
天然繊維は自然界から直接採取される繊維で、着心地や環境へのやさしさから多くの人々に愛用されています。ここでは、代表的な天然繊維の種類と特徴を紹介します。
コットン(綿)
コットンは柔らかく快適な素材で、夏の衣服に最適です。吸湿性に優れ、肌に触れるときの感触のよさが主な特徴です。また、通気性も高いため、汗をかいたときでも快適に過ごせるのもほかの素材にはない強みです。
リネン(麻)
リネンは吸湿性が高く、乾きやすい特徴があります。汗をかいてもすぐに乾き、涼しく快適に過ごせることから夏の衣服に多く採用されています。また、リネンは天然の抗菌性を持ち、雑菌の繁殖を抑えられるのも大きなメリットです。
ウール(毛)
ウールは保温性が高く、冬の衣服に最適です。ウールは繊維のなかに空気を多く含むため、熱を逃がしにくい特性があります。この特性により、寒い季節でも暖かさを長時間キープできます。また、吸湿性も高く、湿気を吸収しても外に放出するため、蒸れにくい点も魅力のひとつです。
シルク(絹)
シルクは、天然の動物繊維です。繊維が非常に細かいため、独特の光沢と柔らかさを持っています。また、シルクは吸湿性と放湿性に秀でており、肌に触れるときに常に快適な感触を与えます。シルクの主な使用用途はドレスやブラウス、ネクタイ、スカーフなどです。 シルクのドレスやブラウスは美しい光沢と柔らかさから、フォーマルな場面や特別なイベントに最適です。また、シルクのネクタイやスカーフは高級感があり、ビジネスシーンやカジュアルな装いにもアクセントを加えられるでしょう。
服に使用する「化学繊維」の種類
現代の衣服に欠かせない「化学繊維」は、耐久性の高さや機能性から多くのファッションアイテムや実用品に取り入れられています。「合成繊維」、「半合成繊維」、「再生繊維」を総称し「化学繊維」と定義いたします。ここでは、化学繊維の種類と特徴を紹介します。
ポリエステル
ポリエステルは耐摩耗性が高く、シワになりにくい特徴を持つ化学繊維です。こうした特徴からポリエステル製の衣服は手入れが容易で、長期間美しい状態をキープできるのは大きな魅力です。また、速乾性にも長けているためスポーツウェアやアウトドア用品など、多様なシーンで活躍しています。
ナイロン
ナイロンの歴史は古く、1936年にアメリカのデュポン社が開発・商品化したのが始まりです。ナイロンは軽量でありながら強度も高く、耐摩耗性に優れているため長持ちする点も大きな魅力です。ナイロン製の衣服は、アクティブな日常生活やスポーツシーンで重宝されます。
ポリウレタン
ポリウレタンは、伸縮性のある化学繊維です。伸縮性の高さを生かした衣服は動きやすく、身体にフィットするため、スポーツウェアやフィットネスウェアに最適です。ポリウレタン製のアイテムといえば、フィットネスレギンスや水着、ストレッチパンツなどです。
ポリウレタンは伸縮性と耐久性の高さから、多くのスポーツやフィットネス業界で幅広く利用されています。
アクリル
アクリルは柔らかく、弾力性に富んだ化学繊維です。軽量でありながら保温性が高いため、冬の衣服に適しています。アクリル製の衣服はウールのような暖かさを実現しながらも、ウールよりも手入れが容易である点が大きな魅力です。
リヨセル
リヨセルは、再生繊維の一種で環境にやさしい化学繊維です。リヨセルはユーカリの木材を原料としたセルロースを使用しており、製造に使用する水と溶剤が回収され再利用されるため、その製造プロセスが環境に配慮されています。また衣料ケアラベルにテンセルと表記がある場合がありますが、テンセル™はリヨセル繊維のブランドであり、レンチング・グループの繊維ブランドです。リヨセル製のシャツやドレス、パジャマなどは肌にやさしいだけでなく、吸湿性も長けているため汗をかいても快適に過ごせます。
服に使用する生地には「混紡」素材もかかせない
混紡素材は異なる種類の繊維を組み合わせ、それぞれの繊維の長所を活かしつつ、短所を補える点が大きな特徴です。たとえば、コットンとポリエステルの混紡素材は、コットンの柔らかさと吸湿性だけでなく、ポリエステルの耐久性と速乾性を兼ね備えています。
こうした混紡素材は、Tシャツやカジュアルウェアに多く使われており、快適さと機能性の両立を実現しています。
服に使用する生地の織り方の種類
生地の織り方は見た目や手触り、機能性に大きな影響を与えるため、どのような種類があるかを理解しておくと洋服選びの参考になるでしょう。ここでは、衣服に使用される生地の織り方を解説します。
平織り
平織りは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が交互に織り合わさる織り方で、強度と耐久性に優れた生地を作成できます。平織りの生地は均等な見た目と手触りが特徴で、シンプルでありながら多機能な面を持っています。平織の代表的な生地は、以下で詳しく紹介します。
ブロード生地
ブロードは柔らかな感触と光沢感、そして高級感のある生地です。昔は羊毛を使用する毛織物が主流でしたが、近年はコットンを用いた綿のブロードが一般的です。ブロード生地は高級シャツやドレスシャツ、ブラウスなどに広く使用され、上品な質感が多くの人に愛されています。
なお、日本では50番手以上の糸が細い生地をブロード、20番手〜30番手の太糸の生地をポプリンと呼んでいます。
オックス生地
オックスの名前の由来は「オックスフォード大学」からきており、別名オックスフォード生地とも呼ばれています。オックス生地は、複数回の洗濯にも耐えられる耐久性と通気性を備えています。そのため、カジュアルシャツやYシャツ、スクールユニフォームなどによく使われています。
ローン生地
ローンは、フランスに存在する街「Laon」から名づけられたという説があります。ローン生地はその薄さと軽さから涼しく通気性がよく、暑い季節にぴったりです。また、ローン生地は透け感が少なく薄手でありながらも適度なカバー力を持っているため、重ね着にも適しています。
シフォン生地
シフォン生地は軽さと透け感が特徴で、女性らしい柔らかな印象を与える素材です。そのため、ドレスやブラウス、スカーフなど、エレガントで流れるようなシルエットを必要とするアイテムに最適です。また、シフォン生地はさまざまな色で染められるため、ファッションの多様性も広げられます。
ガーゼ生地
ガーゼ生地は織り目が粗く、軽量でありながらも吸湿性に秀でているため、肌に触れるときに快適な感触を与えます。それゆえ、肌が敏感な人や赤ちゃんの衣服、寝具などに適しています。ガーゼ素材のベビー服やおむつカバーは柔軟性と通気性から赤ちゃんの肌を守り、快適さを維持するのに役立ちます。
また、ガーゼ生地のパジャマやナイトウェアは吸湿性が高く、汗をかいても快適に過ごせるため夏の寝具として人気があります。
楊柳生地
楊柳生地は、夏の衣服に最適な軽量で涼しい生地です。楊柳特有のシボ(シワ)加工により肌にべたつかず、通気性が高いためです。楊柳生地の使用例は浴衣や甚平、サマードレスなどです。これらの衣服は暑い季節でも快適に過ごせるよう設計されており、年齢を問わず人気のアイテムです。
ボイル生地
ボイル生地は、軽やかでエレガントな雰囲気を持つ生地です。薄手で透け感がありながらも、適度なハリとしなやかさを兼ね備えています。ボイル生地はカーテンやブラウス、スカーフなどに用いられます。ボイル生地を使用したアイテムは軽やかでありながらも上品な印象を与えるため、インテリアやファッションに幅広く利用されています。
綾織り
綾織りとは経糸を2本または3本浮かせ、1本をくぐらせる「まとまり」を一巡りとする織り方で、別名ツイルとも呼ばれます。平織りに比べて組織点が少なく、摩擦に弱い欠点はありますが、その分光沢に優れています。綾織の代表的な生地は、以下で詳しく紹介します。
デニム生地
デニム生地は、丈夫で耐久性のある素材です。「インディゴ染料」で染めた太い糸を使い斜めに織り込むことで、摩耗に強い生地が作られます。ジーンズやデニムジャケットなどは、だれもが一度は見たことのある有名なデニム生地です。
ギャバジン生地
防水性と耐久性にすぐれた生地で、1880年代にかけて「バーバリー」の創業者であるトーマス・バーバリー氏がギャバジン生地を開発したのが始まりです。ウールやコットン、ポリエステル繊維、混紡等様々な繊維で織られています。横糸より縦糸を多く用いておられ、表面に斜めの模様があります。
フランネル生地
フランネルはウールを密に織り、その後起毛処理を施すことで柔らかく暖かい手触りを実現しています。秋冬のスーツやシャツ、ブランケットなどはフランネル生地の柔らかさと保温性を活かしており冬の時期に最適です。
タンガリー生地
デニム記事に似た風合いを持ちながらも、軽量で柔らかい生地です。タンガリー生地はデニム生地より色ムラがあり、カジュアルな印象に映るのが特徴です。使用例はシャツやワンピース、スカートなどさまざまです。カジュアルな日常着として活躍するほか、スタイリッシュな印象を与えるため、幅広いシーンで愛用されています。
カルゼ生地
カルゼは「カージー」とも読まれ、光沢感がありシワが少ないため多くの用途に適した生地です。ウール素材のカルゼ生地は、コートやジャケットなどの高級アウターに使用されます。コットンやポリエステル素材のカルゼ生地は、スーツや作業服に用いられます。カルゼ生地は、ファッション性と機能性を両立させた素材として高評価を受けています。
繻子(しゅす)織り
繻子(しゅす)織りは三原織組織のひとつで、別名サテンとも呼ばれます。繻子(しゅす)織りの大きな特徴は、光沢感と滑らかな触り心地です。平織りや綾織りと異なり、経糸と緯糸の交差が少なく、片側の糸の浮きが多くなるように織り上げられるためです。一方、一般的には摩擦に敏感な素材といった特徴も存在します。
まとめ
今回は、衣服に使用する生地の種類と特徴を解説しました。衣服を継続的に利用するには、クリーニングが欠かせません。埼玉県と群馬県を中心にクリーニング業をおこなう武蔵屋は、創業70年を超える老舗企業です。
武蔵屋では、リネンサプライと呼ばれるリネン類の貸し出しサービスを展開しています。本サービスではリネン類を定期的に回収、洗濯、仕上げまでをサポートしているため、新たにリネン類を購入する必要はありません。武蔵屋のリネンサプライは品質と利便性を兼ね備えた選択肢として、多くの利用者に支持されているサービスです。ぜひ一度ご利用ください。